「魅力化」するためのブランディング

ブランドって何だろう?

 2020年には40ZTBにもなるという、膨大な情報量の中から私たちは選ばれる魅力ある企業になることが必要だと先に書きました。また現在は市場も成熟し、どの商品も品質が一定レベルまで上がり、似たり寄ったりのコモディティー化し始めています。

 

その中でも売れているものは何でしょう?

日頃の生活の中ですぐに思いつくのはブランドですね。例えば男性ならバーバリー、ロレックス、、、、女性ならルイヴィトン、コーチ、グッチ等々、、、、。 

 

 しかし、そもそもブランドって何でしょうか?いろいろな定義がありますが、一言でいえば

「他と区別され、先に選ばれるモノやサービスの総合体」ということだと思います。

 

そして、ここでいう総合体というのは、

商品・サービス、ロゴやブランド名だけではなく、

社員の意識・行動、本社・店舗の内装・備品、カタログや名刺に至るまで

そのブランドに関連するもの全て    を指します。

 

つまりモノやサービスに関係するすべてのもの(ブランド要素)が、顧客に提供する体験(ブランド体験)によって心の中に作り上げられる「心象」(ブランドイメージ)なのです。

 

グッチの商品、店内外装、立地、店員の服装・マナー、ショッピングバッグなどを想像すればわかりやすいと思います。

 

そして、その特徴は

・良い意味で目立つ

・品質が良いという安心感を与えらえれる

・また買いたいと思われる

・それを持っていると優越感を与えられる

・高くても選ばれる

・値切られない

・他と同じ値段なら先に選ばれる

と、言ったところでしょうか。

 

大胆に一言でまとめるなら、ブランドとは人・モノ・金・情報の総合体としてらしさ」、つまり

 

・企業の場合には=CI(コーポレート・アイデンティティー)

 

・事業部・商品の場合には= BI  (ブランド・アイデンティティー)     

 

と言えると思います。

 

*因みにアイデンティティーとは同一性、一体であること、ある者が何者であるかについて、他の者から区別する概念、信念、品質、表現とされています。

 

ブランディングの体系とポートフォリオ

 高度経済成長期のように商品・サービスが右肩上がりに成長し商品ライフサイクルが長ければ、商品・サービスの幅を広げる戦略は、個々の商品のスケールメリットがなくなるだけでメリットはありません。

 

 しかしながら、市場が成熟し、差別化が難しくなり、価値観が多様化している現在では、逆に単一の商品しか持たないことがリスクに変わる場合もあります。

 

 その為に新たな商品・サービスを開発する必要に迫られている企業も多いと思いますが、現在の商品と新商品との整合性やシナジーが考慮されていない商品開発は、いたずらに経営資源を浪費するだけに終わりかねません。

 

 その際に役に立つのが「ブランド体系」及び「ブランドポートフォリオ」という考え方です。

 マイクロソフトを例にあげると、企業ブランドと事業ブランド、事業ブランドと商品ブランドは縦系列で相互に良い関連性を持ち(ブランド体系)、

 

また横系列でPPT,WORD,EXCELと機能を明確に分け、自社内でカニバリゼーション(共食い)を起こさないよう設計されています(ブランドポートフォリオ)

 

 もっとわかりやすく言えば、ジャニーズ事務所(企業ブランド)のSMAP(事業ブランド)の各メンバー(商品ブランド)を想像してみてください。

 

ジャニーズ事務所がチームとしてのSMAPを演出しながら個々人も売出し(体系化)、また各自の特性に合わせて、ドラマ・映画・司会・バラエティーなどに出演させ、別々の分野でカニバリを起こさないよう個々の商品ブランド価値を高めて来た(ポートフォリオ化)わけです。

 

 各個人が強い商品ブランドになっているからこそ、解散しても各自単独でもやっていけるのですね。

 

 一方、AKB48で卒業するとどこかに消えてしまう人が多いのは体系化はしているが、敢て個別商品ブランドのポートフォリオ化はせず、総選挙という顧客体験を通して強い商品ブランドだけを育ててもらうというしたたかな作戦かもしれません。

 

*ポートフォリオとは元々紙幣の入った財布と言う意味のイタリア語ですが、現在は、中身の入れ替えができる一つの塊といった意味で使われています。

 

中小企業でもブランドはできる!!

 そんなものは大企業の話で中小企業とは別世界の話でしょ!!と、思われている中小企業経営者の方が多いと思いますが、ブランドというのは何も先にあげたようなスーパーブランドばかりではありません。

 

 思い出して頂きたいのですが、皆さんの地方にも農産物(神奈川の鎌倉野菜)やお菓子(私の故郷のひよ子)、工芸品(佐賀の有田焼)、特産物(関鯖)、観光地(箱根に富士山)など全国でも有名な物や場所はたくさんありますよね。

 

 全国までとはいかなくとも、その土地では有名な誰もが知っている商品もたくさんあります。

 

 これら上記の特徴から考えればみんなブランドなのです。有田焼は400年の歴史を持っていたり、富士山などずっと昔から有名だったり、時間で見ると超長期の間にブランド化したものもあります。

 

しかし鎌倉野菜や関鯖は、類似の野菜や魚とそれほど大差があるものではないし、歴史があるというほどのものでもありません。

 

 何故そうなったかと言うと、

 

組織の総合体としてのブランディング

   =らしさ」=CI・B創造と社内外への発信 

  =ブランドマーケティングとプロモーション

     が上手かったからブランドになっているのです。 

 

 かつてプロモーションはテレビや雑誌が中心で、コストが高く中小企業ではなかなか手が出せませんでした。しかし、今はWEBやSNSの発達で大きく様相が変わっています。

 

 特にミレニアル世代と呼ばれる層はテレビよりもスマホを見る時間の方が圧倒的に多くなっています。またシニア層でもスマホは持って当たり前の世の中になっています。

 

 つまりWEBやSNS等を活用すればコスト含めて中小企業でも十分にプロモーションができる時代になっているのです!!

 


ストックホルムにあるインテリアブランドショップ。

 

統一感のある魅力的な店構えの中で、センスの良い家具や雑貨がたくさん売られていました。販売員も笑顔で、つかず離れず、良い間合い。

 

購入しませんでしたが、楽しい時間を過ごしました。

         2014年6月藤撮影 

   ”リサ・ラーソン”の工房

 

 日本でも女性の間で大人気のスエーデン、ストックホルム郊外にあるリサーラーソンの工房。猫をモチーフにユーモラスな置物として世界中で販売されていますが、その工房はびっくりするほど小さなところでした。

  ”ソストレーネグレーネ”

 

デンマーク、コペンハーゲンにあるロープライス雑貨店。価格が安いので、つい手に取ってかごにいれてしまう楽しい雑貨がいっぱいのお店で、世界中に展開しています。通路が一方方向というのも、なかなかユニークです。

   ”イルムス・ボーリフス”

 

コペンハーゲンにあるデンマーク王室ご用達のインテリアショップ。    

4階までおしゃれなインテリアでいっぱい。

 

全フロアとも統一されたシックな内装で、ブランドイメージを館全体で表現していました。価格はそれほど高くはなく、庶民に人気の王室ご用達と同じものという体験を通じてセレブ感を演出しています。



組織(企業・事業部)ブランディング

  組織の総合体としてのブランディングということを話しましたが、ではどのように会社の魅力化に効果的なのでしょうか?

 

の図はボーリングのピンだと思って下さい。 

 

 ブランディングの根幹でありヘッドピンであるCIを社内外に発信するわけですが、それには社内向けに行うインナーブランディング社外向けに行うアウターブランディングの両面から行う必要があります。

 

 CIはまずその企業「らしさ」を実現する為の土台となるマーケティング戦略と組織戦略に作用します。前者は事業推進の際の作戦であり、後者はそれを支える部隊編成をどう作るかといった意味です。     

 

インナーブランディング

 

 まず、こちらを実施する必要があります。内部が固まっていないと組織全体がバラバラでは強い力とはなりません。

 

 社員(組織)がCIを理解すると進むべき方向が明らかになり、一体感が生まれ、組織力が高まります。そして自主的に行動できるようになり、効果的な戦略も作ることができるようになります。

 

 組織は大きく分けて後方部隊のコーポレート(管理部)と前線部隊の営業に分かれますが、その間にあって両者を一致して外へ向けさせるための自社でコントロールできるオウンドメディアが情報発信を司ります。

 

 *オウンドメディア=社内向けにはメール、イントラネット、社外向けには自社ホームページ、パンフレットなど。

 

 そして質の高いオウンドメデイアは最大の戦力である社員(営業・コーポレート)の士気を高めるのです。

 

 コーポレートは組織戦略に沿った人事制度を通じて一貫した教育を実施することができるようになります。

 

アウターブランディング

 

 CIを基に立てられたマーケティング戦略に沿って作られるホームページなどのオウンドメディアは直接的に商品・サービスと営業に良い影響を与えるようになります。

 

 またCIを理解した営業は自信と自主性を持って、有効なオウンドメディアを最大限に活用しながらマーケティング戦略に沿って顧客へアプローチできるようになります。

 

 それらの組み合わせの結果として、顧客に自社の商品やサービスを届けることができるようになるのです。

 

 更にはオウンドメディアを経て広く流された商品や社内情報は、求職者からも見ることができるので、自分の希望にあった企業かどうかの判断ができるようになり、結果として採用にも大きく影響を与えることになります。

 

 応募してくるのは自社を理解した上での応募者ですので(理解できない人は応募してこなくなります)、結果的に採用の効率も上がり、採用後の教育も楽になり、退職率も低下するという結果が出ています。

 

 このようにして、インナーブランディングとアウターブランディングを通じて、魅力的で社内外から選ばれる企業を作り上げることができるのです。

 

採用ブランディング

 リクルートの調査によると2019年度大学・大学院卒の求人倍率は7年連続して上昇し1.88倍、で求人数81.4万人(前年比+5.8万人)に対して民間企業就職希望者数は43.2万人(前年比+0.9万人)とほぼ横ばいで、38.1万人不足すると言われています。

 

 特に従業員数300人以下の中小企業は9.91倍(前年6.45倍)と大きく上昇し過去最高となっています。 業種別に見ると、流通業は12.57倍と前年11.32倍より+1.25ポイント上昇し、建設業は9.55倍と前年の9.41倍より+0.14ポイント上昇したようです

 

 また厚生労働省によると2018年7月のパートを含む常雇用者の全有効求人倍率は全体で1.92倍、中でも接客・給仕3.93倍、飲食調理3.21倍、自動運転手2.93倍と、転職者を含めても過去最高レベルの採用難となっています。

 

 このような環境の中で特に2000年以降に生まれたミレニアム世代と言われる今後社会を担ってゆく世代を含めて20代~40代の求職者は、まずはネットで求人情報を検索してから応募することが当たりまえの世の中になっています。 

 

 従って、そのような環境の中での企業ホームページ、特に採用に関する部分は非常に重要性が増しています。

 

 その意味からすると、通常のホームページとは別に採用専門ホームページを作り、単なる雇用条件だけではなく、現代の若者が望む働き甲斐や福利厚生、キャリアパス、先輩社員の声などを詳しく掲載し求職者が自分の希望とすり合わせができるようにすることが、重要な要素になってきています。

 

商品ブランディング

 商品ブランディングは最も市場に近く、対象が正に商品やサービスそのものですから、より細かで具体的なマーケティングが必要になります。

 

 従って環境分析を詳細に行うとともに、ブランドの強みをどう作り上げるか、そしてどう市場に伝えて行くかの戦略を練る必要があります。

 

 中小企業の場合、体力に限りがありますので、何もかもやることはできません。自社商品・サービスの強みや弱みを徹底的に分析したあと、どの市場に狙いを定め、どんな商品開発を行い、その市場の中でどんなポジションに立つのかの絞込みを行うことが重要です。

 

 そして、競合他社には絶対に負けないだけの自信の持てる商品・サービスに仕上げ、そしてタッチポイントを明確に決めて可能な限りのプロモーションを実施することになります。

 

 ブランディングには継続性が重要であることは組織であれ、採用であれ共通ですが、企業収益に直接的に影響を与える商品ブランディングでは、継続性に加えて多頻度に、より鮮度が高い情報の発信が求められます。

 

 更には、ネット販売を行う場合にはリーチ数拡大に始まり、最終コンバージョン(買上率)を最大化するまでの情報解析が非常に重要になります。

 

 この分野は昨今特に人材の取り合いが極めて激化しているため、採用することは非常に難易度が高いと思われますので、信頼できる外部パートナーと組むことが現実的で確実な方法です。

 

魅力化のSTEP

 では、具体的にどうやって魅力化できるのでしょうか?詳細はお会いした時にご説明しますが、ここでは組織と採用ブランディングの大まかなSTEPをご紹介しておきましょう。

 

◆組織ブランディングと採用ブランディング

 

 この2つのブランディングについては企業のあるべき姿を導き、社内外へ発信して行くことになりますので、理念などの指針が固まるSTEP4までは同じプロセスをたどります。

 

 理念などが既に明確にある場合には、それに沿った採用ブランディングのみを行うことになります。

 

STEP1.TOPインタビュー、キーパーソン・インタビュータビュー、経営診断(定量的分析は必要と要望に応じて実施)

  

 まずは会社代表である経営者に、会社をどのような方向に向けて行きたいのか、理念やビジョン、戦略などをお聞きし、その意向を実現する為に以後の話を話を進めて行きます。

 

 次に幹部、ミドル層、新卒新入社員の方々にもヒアリングを実施し、また主要取引先や顧客にもヒアリングまたはアンケートを実施し、多面的に経営診断を行い、企業理解を深めます。

 

STEP2.幹部研修と現状分析・調査と課題抽出、アクションプランの策定 

 

 幹部5名~10名程度)に当たり集まって頂き、ブランディングの持つ重要性についての理解を深めて頂くための研修を行います。

 

 その後、種々のマーケティングツールを使って、幹部の皆さん自身が現状の会社をどのように認識しているのか、タッチポイント(顧客と商品・サービスが接触する点)と現状の接し方などの洗い出しをワークショップを通じて行い、強み弱みがどこにあるのか?それをどう今後のブランディングに活かしていくのかのアクションプランをディスカッションを通じて全員で創りあげます。

 

 またその過程の中から、理念などにつながるキーワードの抽出も並行して行います。

 

STEP3.レポーティングとディスカッション 

 

  代表をプロジェクトリーダーとしたブランディングチームにSTEP2.で出てきた現在の状況を幹部がどう思っているのか、ブランドの状況、アクションプラン、キーワードを報告し、方向性を確認すると同時に、必要に応じて軌道修正を行います。

 

STEP4. ブレストとディスカッション

 

 CI(理念、ビジョン、戦略、USPなど)を具体的に創りあげるためのブレストとディスカッションを行い、各テーマの明確な言語化とロゴの視覚化を行います(パートナーライター、デザイナーを起用)また、それらの実施運用の為のツールや実施要領なども策定し、代表と確認したのものを最終決定とします。

 

    決定後、ホームページ他のオウンドメディアの変更が必要になる場合には、プロフェショナルなT-Biz外部提携パートーナーを活用して具体的な企画立案、作成を開始します。

 

STEP5. インナーブランディング、採用ブランディングの開始 

 

 完成したCIを全社員に理解して頂くための、社内ブランド発表会を実施します。

社内浸透はこの場だけではなく、種々のツールを使って日々行うことが重要であるため、それらのツール、運営方法についても説明します。

 

 採用ブランディングを行う場合は、並行して採用ホームページの作成を開始します。

 

STEP6. アウターブランディングの開始 

 

 プレスリリース、関係者への案内、設定したタッチポイントからの発信などを行い、売上・利益の拡大につながる具体的な行動を開始します。 

 

STEP7. 運用の確認と修正

 

 ブランディング開始後、約半年の時点でインナー・アウターともに社員満足度調査、アンケート、営業へのヒアリングなどを通して、浸透度の確認を行い、不足点・修正点を補完していきます。

 

*ブランディングは一朝一夕になせるものではなく、時間がかかるものですので、継続して発信し、状況に合わせて修正し続けてゆくことが求められます。

 

 

悩みに寄りそう成長経営パートナー

T-Bizコンサルティング